行政書士開業準備中~墓じまい編8(応用編1)
ある晴れた日、川崎四朗(67歳)は住職の閉眼供養を聞きながら、今は亡き父親、母親の姿を思い受べていた。
これで良かったんだよ、、、これしか方法はなかったし。
10年前に父を、昨年母を亡くし、今や妻、由紀子(64歳)と2人でのんびり暮らす毎日。
そんな時、久々に実家に遊びに来た一人娘の亜希(36歳)と3人でテレビを見ていた時の一コマ。
司会:それにしても無縁墓の数の増加が止まりませんね。何故でしょうね。
コメンテーター:一概に言えませんが、やはり核家族の影響が大きいでしょうか。
それより何より、都会に移り住む人が多くなったことが大きいでしょう。
その結果、先祖代々続いていたお墓が地方にある場合、自分たちも高齢化して、通うのも難しくなるのでしょう。
司会:高齢化するという事ですが、早めに対応するなどはできなかったのでしょうか。
コメンテーター:それは墓じまいの事でしょうか。
司会:そうです。墓じまいの事です。
コメンテーター:やっている人は多くいますよ。
確かに離檀料が高すぎるというトラブルもありますが、多くは段取りの拙さが原因でしょう。
多くの方は、墓じまいに取り組もうとしています。
ある意味責任感のある行動でしょう。
しかし、墓じまいは1日2日で行えることではありません。
手続きも、誰に何を頼めばよいか等、初めて墓じまいに取り組む方には敷居が高いところもあります。
ついつい後回しになって、そのままという事があるのかもしれません。
困ったら、行政書士や地元の石材業者に相談されることをお勧めします。
それにしても、草葉の陰から泣いているご先祖様の姿が目に浮かびます。
(前々から分かってはいたけど、あえて現実のものと認めたくなかったのかもしれない。
でも墓じまいは、ある意味責任ある選択だ。
ここまで育ててくれた、親父やお袋が眠る墓を無縁墓にはできない。)
「なぁ由紀子」
「なぁに」
「親父達が眠るお墓なんだけど、年齢的にも通うのは難しいと思う。」
「そうね」
「亜希に託すわけにはいかないしな」
「私は大丈夫よ、お義父さん達のお墓は旦那が見るだろうし、別に苗字が違っていても大丈夫でしょう。規則に反するわけじゃないし」
「はは、ありがとう。気持ちだけもらっておくよ。でもそれは現実的じゃないな。私たちの代でお墓を閉じよう。由紀子良いかな?」
「貴方がそう決めるなら、反対しないわ」
「2人が賛成なら、私も賛成」
それから、時間の許す限りお墓の本を読み漁り、菩提寺の住職には現状を相談しつつ、今までのお礼を兼ねてお会いして、快くお墓を閉じることにご賛同を頂いた。
どうやら巷でいわれる高額な離檀料の問題は避けられそうだ。
親戚の千代婆には、八代先まで祟られると猛反対されたが、多分あの映画の影響だろう。
申し訳ないがスルーさせてもらった。
石材業者の見積もりも極めて常識的な範囲でほっとした。
なにより、新しいお墓も駅から近い納骨堂。
これで、親父達を無縁にしなくて済みそうだ。
石材業者:川崎様、お墓にある骨壺は計4つ。御先祖様は4体で間違いはないでしょうか。
四朗:そうですが、、、何か?
石材業者:骨壺5つありますが、、、御先祖様は5体???
四朗:いや親父にお袋、爺さん、婆さん、、、
(響子さん?、、、それは五代。)
いや、待てよ、爺さんひょっとして、、、。
石材業者:骨壺の下に、遺骨らしきものが、結構ありますね。
四朗:????
予定していた数より骨壺が多い事はたまにあるそうです。
ホントかよって思わないでもないですが、、、。
増えた骨壺の中身は誰かですが、それを探るのは野暮というものでしょう。
このような場合、改葬許可申請書を改めて入手して、氏名欄に不詳と記載します。
そして、後からザクザク出てきたお骨。
土葬です。
今でこそ、火葬が主流ですが、かつては土葬も多かったです。
この場合、土葬のままでは改葬ができませんので、改めて再火葬の手続きを行います。
以上、開けてびっくり玉手箱シリーズ第2弾、墓じまい編でした。