行政書士開業準備中~遺言編7
相続の揉めるパターンは、ある程度事前に予測できます。
今書いているのはそのうちの一つですが、応用パターンになります。
自分の遺産が見ず知らずの第三者に流れていきます。
それを遺言書で防ぐ事ができます。
女性が再婚をして子供がいたとします。
しかし以前の結婚生活で既に子供がいる場合、ちょっとした盲点になりがちです。
①女性の再婚相手が亡くなるとその遺産は女性と子供にいきます。
②次に女性が亡くなると、女性の遺産は今の子供と、以前の子供にいきます。
つまり最初に亡くなった男性の遺産は、女性を通して、見ず知らずの人間(女性の最初の子供)に流れます。
「川崎様、以下の内容で遺言を作りますので、ご意見があれば仰って下さい」
「はい、お願いします」
「まず、川崎様の土地と建物は全て娘の亜希さんのものとする。これにより、奥様を通じて、以前の奥様のお子様に不動産が流れる事を防ぐことができます」
「それで結構です。一つ条件を入れたいと思います。娘なので大丈夫かとは思いますが、やはり妻が心配です」
「承知しました。土地と建物を娘の亜希さんに譲るが、その条件として妻の面倒を見る、というご主旨ですか」
「はい、その通りです」
「ではその旨も付け加えます。次にその他の財産です。金銭、車等の財産についてご希望はありますか」
これについては、迷ったが法定通りで良いかと思う。
「法定通りで進める事は可能でしょうか」
「勿論です。では、後日口座番号と支店コードを教えてください。それらは、2分の1ずつ、奥様と亜希さんに相続させるという事でよろしいでしょうか」
「はい、それで結構です」
遺言は何度でも書き換えられる。
もし新たに変えたいと思ったらその時伝えればよい。
また山本先生に頼もう。
「それから。車、株式、その他の財産についてある場合、どういたしましょうか」
そこまで考えていなかった。
「それについて書かなくても問題ないですか」
「その場合法定相続通りですが、奥様と亜希子さんの話し合いで決めるのが一般的かとは思います」
それならそれで良い。
今回の眼目は、今私に何かあった場合、私の財産、特に不動産が第三者に流れる事を防ぐことにあるのだから。
「とりあえず、今回は不動産と金銭の遺言でお願いします」
「承知しました。原案が出来上がり次第ご連絡します」
妻には申し訳ないが、私の子供は亜希子だけだ。
妻と以前の夫との間にできた息子と、娘の亜希が私の不動産を共有する可能性は何としても防ぐ。
これが私の務めであり、義務でもある。