行政書士開業準備中~相続編12(ペット相続②)
ペット相続二回目です。
娘の亜紀の運転で病院に行き、急性腰痛症と診断された。
ありていに言えばぎっくり腰だ。
寝てれば治るという事だが、それくらいは素人の私でもわかる。
しかしついていない。
何でよりによって今日なんだ。
「亜紀ちょっと頼みがあるんだけど良いかな。今日山本先生の予約を取っているんだけど」
「嫌よ、私忙しいの」
ほぅ実家に遊びに来て、テレビを見るのが忙しいのか。
そもそも、お前が持ち出した話題だろうが。
「ちょっとそこの財布取ってもらえないか」
財布という言葉に反応したのか、亜紀が無言で立ち上がる。
心なしか目じりが下がっている。
妻の血を色濃くひいているのがよくわかる。
「私の代わりに行ってくれないかな」
そういって1万円を手渡した。
「確か相談料3000円だからお釣りはお駄賃だ」
くどいようだが、ペットの話を持ち出したのは亜紀の方だ。
何故に私が多めに金を支払わねばならんのだ。
親の顔が、、、いや母親に似て、、、
もう考えるのは止めよう。
腰の痛みが増すだけだ。
「ありがとう。じゃ言って来るね」
商店街の真ん中にある、焼き鳥屋さんの2階か。。。
「山本行政書士事務所」
これかな、随分ちっちゃな表札だなぁ、もっと大きくすればいいのに。
2階の突き当り、あっ居た。
パソコンに向かって俯いてる。
生きてるのかなぁ、あっ動いた、こっちに気づいた。
「こんにちは、父の代わりに来ました。川崎です」
「川崎様のお嬢様ですね、お話は伺っています。どうぞこちらにおかけになって下さい。ところでお父様が腰を痛めたと伺いましたが大丈夫でしょうか」
「ありがとうございます、立ちあがった時に腰を痛めたみたいです。暫く寝てれば治るそうです」
年は40前後、私より5つ上くらいかな。
「そうですか。くれぐれもお大事にとお伝えください」
「ありがとうございます」
「では本題ですが、残念ながらペットに相続させる事はできません。というのも日本の法律(民法)では人間を想定しています」
「そうなんですか」
「ですから仮に遺言書でペットに土地や金銭を譲ると書いても効力は発生しません。ただし相続は無理ですが相続と同様の効果を発生させる事はできますよ」
「同様の効果ですか、、、。」
「趣旨はペットにお金を上げたいというより、ペットの為にお金を使ってほしいという事だと思います。難しい言い方ですが、贈与を遺言か契約でするという事です」