後見制度は慎重に③

お陰様で「想いを紡ぐ墓じまい」が昨日販売となりました。

ご購入いただいた皆様あつくあつく御礼申し上げます。

何度も何度も見返しましたが、一か所誤字がありました。

大変申しわけありませんでした。

お恥ずかしい限りです。

どこかの時点でまとめて記載したいと思います。

 

想いを紡ぐ墓じまい: in 横須賀 (∞books(ムゲンブックス) - デザインエッグ社)

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 エンディングのノートの落とし穴3回目です

 

www.akihiroha.com

 

友人の咲は先月結婚して東京に引っ越し、お婆さんは横浜の老人ホームに入った。
そういうわけで咲のお婆さんが面識のある山本先生をご指名し、咲経由で私へと話がきたのだ。
勿論電話で済ましても良いのだか一度先生の事務所を見てみたかったのだ。
近くに居酒屋でもあるのかと想像していたが、前回とは打って変わって閑静な住宅地、というわけでもないがまあ普通の場所だ。
駅から遠いところが難点だが、先生のことだから自分でささっと動き回ってお客様の所に出向くのだろう。

「では早速電話をして会う段取りをつけます。早いほうがよろしいでしょう」
「お忙しい中、いつもありがとうございます」

一瞬間が開いた。
何か言ってはいけない事を言ってしまったのか。
いや、普通のやり取りだと思うのだけど何だろう。

「実はそんなに忙しくないんですよ。本当は忙しくないといけないんでしょうが。歴史のサークルに入って図書館で本を読みつつ、副業でアルバイトをすると結構時間が取られるんです。それで残った時間と本業の仕事量が丁度良いんですよね」
「なんだか毎日が充実しているように聞こえますよ」

うーん、果たしてこれはどうなんだろう。
考え方が逆なように聞こえるぞ。
本業が充実して空いた時間で趣味を楽しむならわかるが、私には本業の優先順位が低いように聞こえる。
ついでなので答えはわかっているが、先ほどからいじられつづけてるので一つ禁断の質問をしてみよう。

「ところで先生はどうして事務所を引っ越したのですか。以前の事務所は駅から近くて事務所に行きやすかったですよ。商店街の中でお店にも不自由しなかったように感じますが」

おや、先生の動きが止まって一瞬天を仰いだぞ。
やっぱり急所をついた質問だったようね。

「ついにその質問が来ましたか。いつか聞かれると覚悟はしていました。実は最近気づいたのですが、どうも入るお金より出ていくお金が多いようです。不思議な事もあるものです」

不思議かどうかと問われると先生、それは決して不思議ではないですよ。
入るお金は仕事量と比例するのですから。
それにしてもこうしてお仕事を持ってきた私に、もう少し敬意を払っても良いんじゃないかしら。

「そういう意味では、こうしてご紹介していただけるのは非常にありがたい事です。感謝しています」
「いえいえ、私は友達に頼まれてきただけですから」

なんだ、ちゃんとできるじゃないの。
以心伝心ってこういう事をいうのかしらね。