後見制度は慎重に⑧

 前回のはこちら。

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 8回目です。

用語の説明が主ですのでちょっと退屈かもしれません。

 

 

「それから任意後見です。これは先程の財産管理等の委任契約が終了した場合に威力を発揮します」
「と言いますと」
「実は先ほどの財産管理等の委任契約というのは、基本的には本人の判断能力がなくなると同時に終了します。そうするとその後の本人を保護する制度が必要となります。その為の制度が任意後見になります」
「任意後見ですか。よく成年後見といった言葉耳にしますが」

「正確に言うと成年後見というのは任意後見と法定後見にわかれます。前者は任意ですので自分で信頼する人を見つけます。後者は法定ですので法律で定まるという事です。後者の法定後見は、判断能力の程度により、後見、保佐、補助と分かれます。通常、成年後見というとこの後見の事を差します。この任意後見、成年後見は先程の①自分の老後になります。勿論若い人でも後見つまり手助けみたいなものを必要とする方はいますので老後すべてに当てはまるわけではありません。あくまで一般論の話になります」

「いやあ任意後見と成年後見ですか。難しそうですよね。一度きっちり勉強してみます。自分に関わりないと言い切れないですもんね。ただいまいちその違いが分からないんですが」

将来関わる事だ。
妥協しないで頑張って理解しよう。

「そうですか。ではこれならどうですか。任意後見というのは自分がしっかりしているうちに自分の信頼している人、例えば家族、親類、専門家等誰でも良いですが、あくまで自分が信頼できる人と契約を結ぶものです。これに対して成年後見ですが、これは判断能力が低下しその人を守る必要がある場合に専門家、多くは弁護士、司法書士ですが、家庭裁判所が成年後見人としてつけるわけです」

「つまり自分を守ってくれる人を自分が選ぶか他人が選ぶかの違いと理解すればよいのですか」
「仰る通りです」
「簡単ではなさそうですね」

「なかなか手ごわいところですが早めに取り組んで損はないと思います。それ以外で有名なものとしては死後事務委任契約なんてのもあります」
「死後の事務の契約、ですか」
「要するに自分が亡くなった後の事務をお願いする事です。特にお一人様の場合自分が亡くなった後の問題があります。例えば葬儀です。どんな方法でするのか。お墓の問題だってあります。携帯電話やガス、電気、水道だって解約しなければならないですのでやる事は山ほどありますよ。こちらは②の自分の死後の事になります」

「終活って大変なんですね。涙が出てきそう」
「さらに見守り契約なんて言うのもありますよ」
「それは聞いたことあります」

宮田さんが反応した。
お父さんが高齢なこともありこの手の話しは結構詳しい。

「高齢者のお宅に電話を入れたり訪問したりして安否確認するんですよね」
「安否確認というより健康状態や生活状況を確認するんです」

苦笑しながら先生が答えた。

「これは勿論①の自分の老後になります」