14、エンディングノートと終活講義・後半⑤

 

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「大事な事は将来の憂いに対しては、正しい知識を持って準備しておくことです」

 

先生にしては良いことを述べる。

とても自分の言葉で述べているとは思えない口振りである。

 

「引き取り手が決まったとして次に方法論をご説明します。①引き取り手の方について遺言書の中で書くまたは②引き取り手の方と契約をする事が考えられます。遺言書といっても引き取り手の方に何かを相続させるというわけではありません。共通するのは金銭を渡してペットの世話を頼む事、自分が亡くなった後に効力が生じる事です。それを①遺言でするか、②契約でするかという事です。但し、遺言の場合相手が拒否する場合もあります。契約できるのであればそれに越した事はありません。因みに①の事を負担付遺贈、②の事を負担付死因贈与と言いますがこれは聞き流して頂いて結構です。とにかく大事な事は如何にして信頼できる相手を見つけるかにつきます」

 

分かったような分からない様な状態だ。首をひねる方も居るのでやはり難しいのだろう。

 

「なかなか初めは理解するだけでも大変かもしれません。今の遺言や契約の事をペット相続なんて言ったりします。もっとも相続は人に限られますのでペットに相続させる事はできません。しかしペットを飼うことを条件に金銭を贈与する事により相続に近い事を行う事ができます」

 

話がテンポよくすすむ。

最初からこうすればよいものを。

 

「今述べた①負担付遺贈は相手がか拒否するという弱点がありますので②負担付死因贈与契約をお勧めします。しかしこちらも自分の死後、相手がペットの飼育をきちんとしているかを確認できないという弱点があります。そこでペットの飼育がなされているかを確認する死因贈与執行者を決めておく事をお勧めします」

 

いかんぞ、話しについていけない。

用語が一気に難しくなった。

左斜めの女性は口が半開きになってるぞ。

 

更に話しが続く。

ラストスパートといったところか。

 

「最後に後見制度に軽く触れたいと思います。大まかな考え方として、例えば自分が認知なり正しい判断ができなくなった時、自分の財産の管理を誰に託すかです。自分が元気なうちに家族等自分の信頼できる人に任せるか、自分が判断できなくなった時に専門家に任せるかになります。この辺りを漠然とイメージして頂けたらと思います。因みに前者が任意後見人、後者が法定後見人です。皆様疲れましたか。あと少しですよ」

 

先生の言葉が耳をこだまするが、話しの内容が右から左に流れていく。

後見という言葉は度々耳にするがやはり難しい。

 

「この後見制度についてはエンディングノートに書いてどうこうできるレベルではありません。しかしせっかくの機会ですので、是非ご自身なりに考えて頂けたらと思います。先程の法定後見人の申し立ては、慎重の上に慎重にお考え下さい。一旦法定後見人がつくと、これを取り外すのは容易ではありません。この弊害は雑誌等で伝えられています。ご興味のある方は一度調べてみる事をお勧めします。それでは、時間になりましたのでこれで終わりにします。私は一旦事務所に行きますが、また直ぐに戻ってきます。ご質問はその時にお伺いします。皆様お疲れ様でした」

 

意外といっては失礼だがまともに終わった。

普段焼き鳥食って飲んだくれてるイメージを見事にくつがえしてくれた。

 

「エンディングノートを作るのって思ったより大変なんですね。元気なうちに作った方がよいかしらね」

 

井崎さんが話しかけてきた。

私が答えようとすると先生が慌てて戻ってきた。