行政書士開業準備中~和文契約書編10
前回に引き続き、固い内容になってしまいます。
業務委託契約は、多くの業界で結ばれています。
よくブログを読んでいると、フリーランスで頑張っている記事を度々目にします。
このフリーの方が結ぶ契約の典型はやはり業務委託契約です。
前回、損害賠償のひな形のご説明をしました。
こんな感じです。
第〇条 甲又は乙は、故意または過失により本契約に違反して相手方に損害を与えた場合には、相手方に対し、損害を賠償しなければならない。
これは、バランスを取ったひな形です。
実は、業務委託契約の場合、上記のひな形を修正(骨抜き)して度々やりとりが行われます。
実は、ここは企業間でもかなり戦います。
仮にフリーの方が個人で契約する場合でも、私は修正を求めてやりとりしても良い箇所だと思います。
委託金額です。
損害額を委託金額の上限に限るわけです。
つまり仕事の委託を受けた場合、損害額をその報酬の限度に制限するわけです。
これを先のひな形にあてはめますと、以下になります。
第〇条 甲又は乙は、故意または過失により本契約に違反して相手方に損害を与えた場合には、相手方に対し、支払い済みの代金額の総額を上限として損害を賠償しなければならない。
ここは、かなりバトルになります。
委託をする方としてはこんな制限取っ払いたいわけです。
ですので、代金額の総額の2倍(3倍、5倍)とか言ってくるわけです。
2~3倍が落とし所のように見えます。現実でも2~3倍で落ちつく事が多い印象ですが、業界によっては大きく異なるかもしれません。
これってよくよく考えると、不公平だと思いませんか。
委託を受ける側の肩を持つわけではありませんが、支払い済みの代金額に限るのが公平な感じがします。
何故でしょうか。
分かりにくいですが、実はこれって委託をする側が、委託を受ける側にリスクを転化しています。
例えば、委託をする側が、ABC全ての業務を自社の従業員だけで行ったとします
B業務で従業員がへまをしたとしても、(横領したとかは別ですが)従業員に損害賠償はまず無理でしょう。
では、このB業務を委託して、委託を受けた会社がへまをした場合、損害賠償として2倍、3倍、請求するのはどうでしょう。
ちょっと公平ではないという気がします。
もっと話を進めると、ABC業務がうまくいき、相当な利益を出したとします。
この利益を、委託を受けた側も享受できるかですが、そんな事は無理ですよね。
つまりリスクは受けるが、リターンを得られないという結果なわけです。
さて、繰り返しになりますが、大本萌景さんが結んだであろう、業務委託契約の損害賠償条項、どうなっているでしょうか。
推測はできますが、それは次回という事で。
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