行政書士開業準備中~和文契約書編14

契約交渉と恋愛と重なる部分があると感じます。

ちょうど日露の北方領土交渉が行われていますが、恋愛でも、交渉でも成立させたいと強く思う方が、立場的には弱くなる傾向が強いでしょう。

よく惚れた方が負けとか惚れた弱み等と言いますよね。

契約の交渉がデートみたいなものです。

恋愛関連でPEAという脳内物質についての記事です。

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やはり、付き合いたいという思いが強い方が、相手に合わせてしまいがちです。

契約交渉も同じで、どうしても成立させたいという思いが相手に察知されると、足元を見られます。

恋愛にせよ交渉にせよ、強い方の共通点を一つ上げると、成立させる必要がないという事です。

恋愛なら、無理して貴女(貴方)と付き合う必要はなく、また契約交渉であれば、無理して成立させる必要はないという事です。

 

私が契約の後方支援をしていた時の例を一つ上げます。

治験業界でしたので、大多数のクライアントは製薬会社です。

因みに私達の業界では、業務委託(委託ではないです、委受託です。)契約という契約名が慣行でした。

ようするに、受託側も強いんです。

実際には、治験の臨床段階、非臨床段階等々様々な場面で、かなりの人員を用意しなければならない時、実施部門からもう無理だよ、人が集まらないという事が、多々あります、

ですから受託側から断る事もあります。

だから、委託受託あわせて委受託です。

そんな時、だれもが知っている電気メーカーから依頼が来ました。

まず、こちらの契約書を提示し、先方から数か所赤が入って返ってきました。

一つは契約書の表題です。

業務委託契約から業務委託契約と変更されていました。

つまり、仕事を上げるのは私達だから、文言は委託のみで十分、受託は不要でしょというという事です。

 

次に、損害賠償条項が変更されていました、

<変更前>乙社は、委託金額を上限として甲社が被った損害の賠償の責めを負うものとする。

<変更後>乙社は、委託金額の5倍を上限として甲社が被った損害の賠償の責めを負うものとする。

業界ルールは同額から2倍、せいぜい3倍です。

乙社が業務を請け負う側、つまり私達です。

 

営業の方と打ち合わせをして断る事にしました。

契約書の表題が変わっても、大事なのは中身です。

ですが、今回の変更は受託側に対して敬意が感じられませんでした。

下に見ているのでしょう。

次に、損害額ですがここは成立させたいのであれば戦う場面です。

業界ルールより高い設定です。

審査者(交渉支援)である私と、交渉担当者の営業の方との共通認識は、金額からして絶対に成立させたい案件ではないという事です。

100万切っている案件でした。

さらに相手に対する敬意が感じられません。

恋愛にせよ、交渉にせよ、自分一人の行為ではないです。

相手あっての事です。

相手への尊敬、敬意が必要です。

 

これは、お隣さんとのレーダーなんちゃらと同じです。

 

さて顛末ですが営業から断ったはずなんですが、相手がどうしても成立させたかったようです。

結論をお分かりですよね。

 

このように断る力があれば良いです。

そうでない場合、非常に不利な契約を結ばされる時があります。

それを可能な限り防ぐのが下請法になります。