後見制度は慎重に②

前回はこちらです。

 

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登場人物は今まで通り川崎一家と山本行政書士です。

もし気づいた点がありましたらコメント欄に残して頂けると嬉しいです。

 

今から半年前、私の友人である緑川咲のお婆さんの件で先生に相談をしたのだ。
要約するとこうだ。
息子夫婦と仲が悪く、息子は嫁の尻に敷かれて言いなりなので面白くない。
特に生意気な嫁とはそりがあわない。
言いたくないがむかつく。
嫁に恩恵がいくだろうから遺産の全てを息子にあげたくない。
可愛いワンちゃんに少しでも遺産を残したい。
ついでに一緒の老人ホームに入りたい。
できればお墓も一緒が良い。

そこで先生にペット相続とペットと一緒に入れるお墓について相談したのだ。

「お墓先生、じゃなくて山本先生、そういえばペットの件はどうなったんですか」
「あはは川崎さん、守秘義務って言葉ご存知ないですか。勿論私が言えるわけないですよ。まさかとは思いますが酔ってませんよね。お願いします」

一瞬右手を握りしめてグーパンチをする姿を頭に思い浮べたが、何とか思いとどまった。
いつからこんな嫌味を言うようになったのか。
それにしても、もちっとましな言い方はないのだろうか。
確かに気軽に冗談を言い合えるようにはなったのだが、仮にもお客を紹介したのはこの私だ。
もう少し感謝というものがあってもよかろうものだが。

「話を戻しますよ。あっその前に私酔ってませんから。ていうか若干失礼ですよね」
「勿論冗談ですよ。ただお酒大好きって印象が強いものですから。印象というか事実ですよね。いえ、他意はないです。ただ浴びる様に飲むところを見ると、あっ、失礼、忘れてください。これでも褒め言葉のつもりなんです」

ほう、浴びるように飲むというのが褒め言葉なのか。
しかもその褒め言葉を忘れろというのは大分矛盾している。
しかし女性に向かって浴びる様に飲むなど失礼極まりない。
まぁあながち間違ってはないのだが。

「どんなことでしょうかねえ。そういえば緑川様は有料老人ホームに入られたのですか。半年前お会いした時はまだご自宅でしたが」
「はい。今は入居されてますよ。頭の方はしっかりされています。ただ足腰は大分弱っているそうです。最近は体調もよくないそうです。できたら先生にお越し頂きたいということです。そうだ、咲から有料老人ホームの住所と電話番号を聞いています」

そう言って先生にメモ紙を手渡した。