行政書士開業準備中~内容証明書編3

退職届退職願の違いを御存じでしょうか。

私は、知りませんでした。

どうも諸説あるようで、後々撤回できるのが退職願で、撤回できないのが退職届であるとするのが有力です。

ところが、その考えを真っ向から否定する考えもあるようです。

更にどっちでも良いのではないかという考えもあります。(私は、これに近いです)

届と願、字が違うのですから、意味も違うだろうという事は分かります。

大事なのは、辞めるという意思表示であり、それはどちらも変わりはないはずです。

まぁここは、会社の就業規則に乗っ取って手続きをすれば良いだけなのですが、問題は受け取ってもらえない場合です。

これはよく聞きます。

ここで出てくるのが内容証明郵便です。どうしても受け取ってもらえない場合、これを使えば辞める、辞めないの押し問答は終了です。

これで、辞めるという意思表示は確実ですし、証拠も残ります。

このように、事実を証明するのには優れた代物だと思います。

 

では、不倫の場合は内容証明郵便は適しているか。

その前に、前回最後に述べた、婚姻関係破綻の理論とはなんぞやをご説明します。

端的に言えば、結婚生活が破綻している夫・妻と不倫をしても、その妻・夫に不倫慰謝料を払う必要はないという事です。

因みにこの理論、条文ではなく判例が出発点です。

ただ、どの家庭が婚姻関係破綻しているかはケースバイケースで、判断が難しいところです。

当然、不倫した側はこの理論を認めたいでしょうし(お金払いたくないですよね)、された側は認めたくないでしょう。(こちらは、お金を請求する方です)

例えば、別居が数年来続き、離婚調停の進行中の事案であれば、婚姻関係が破たんしている方向にベクトルが向くでしょう。

前回登場のAさんが、反論できるとすればこれでしょうか。

他には、既婚男性が独身と偽っていた場合が考えられますが、この場合、そもそも、不貞行為による慰謝料請求が厳しいでしょう。

最初に書くべきでしたが、この不貞行為の根拠は、民法709、710条です。

とりあえず、709条をあげます。

故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

いきなりこの条文は分かりづらいですが、最初に出てくる、故意、過失、ここが認められるかにかかってきます。

例えばですが、結婚パーティで、既婚男性が未婚と偽りAさんと付き合う場合は、故意は当然、過失も認めらないと私は考えます。

では、既婚男性が、Aさんの職場の同僚で以下の場合はどうでしょうか。

この既婚男性、自分は未婚だと言い張りつつ、妻の実家に行った時のお土産ですみたいな、寝とぼけた事を言って、更にAさんがそのお菓子を配るといった摩訶不思議な行為をしてるなら、Aさんに過失ありと言われても仕方ないでしょう。

過失というかバッチリ故意が認められるような気がします。

 

では次回、不倫の構造と、内容証明の適否をざっと俯瞰してみたいと思います。