行政書士開業準備中~墓じまい編5
改葬(以下、墓じまいと書きます。)を行う際のポイントを幾つか書いてきました。
詳細は、前回までのブログをご参照頂ければと思います。
この墓じまいの際に問題になる事の一つが離檀料です。
離檀料とは、檀家から離れる際に気持ちを表すお布施で、まったく法的根拠のないものです。
ここで、そもそも墓じまいを御存じない方向けにざっとご説明いたします。
例えば、数十年前に地方から都会に出てきて、そこで住まいを持ち、暮らしていたとします。
お盆やお彼岸に実家に戻ってお墓参りをしていましたが、実家の両親も亡くなり(両親はお墓に入っています)、だんだんお墓参りをするのが負担になってきた場合です。
そして自分たちの、お墓を都会のどこかに建てようと考えた場合、それなら、今まであった地方のお墓を閉じて、新しくつくるお墓に先祖代々のお骨のお引越しをすること、これを一般に墓じまいといいます。
実は、この墓じまいの根拠となっているのは、墓地、埋葬等に関する法であり、この5条、8条が根拠となっています。
第5条、埋葬、火葬または改葬を行おうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、市長村長の許可を受けなければならない。
第8条、市長村長が、第5条の規定により、埋葬、改葬または火葬の許可を与えるときは、埋蔵許可書、改葬許可書又は火葬許可書を交付しなければならない。
条文なので取っつきにくいですが、要は第5条で改葬をする者は、市町村の許可を受け、第8条がその裏規定で、市長村長は改葬の許可を与える際、改葬許可書を与えなければならないという事です。
条文からわかる通り、私たちが墓じまいというのは、この改葬の事です。
離檀料は関係ありません。
墓じまいをする際に、必要となるのがこの8条規定の、市長村長が許可を与えた書面すなわち改葬許可書です。
そして、この改葬許可書をもらうためには2つの書面が必要となります。
一つは、①受け入れ証明書です。
これは、新しく作るお墓の管理者からもらいます。
もう一つは、②埋蔵許可書です。
これが曲者です。
この②の埋蔵許可書を出すのは、現在のお墓の管理者です。
現在のお墓のある市区町村から、改葬許可申請書を貰ったうえで、この申請書に管理者が署名したものが②の埋蔵許可書となります。
寺院のお墓の管理者である住職が、この申請書に署名を書く際に、それなら離檀料を払って下さいと言った時に問題が表面化します。
では、墓じまいを考えた時、どのような段取りを組むべきか。
また誰に相談をして、どのような方法で行うのが適切なのかを、次回詳細に書いてみたいと思います。
やはり行政手続きですので、お勧めは行政書士です。
最後に、以下の二つの、簡略化した文を見比べて下さい。
一つは檀家から寺院への手紙、
一つは檀家から寺院への電話です。
先ずは手紙。
〇〇寺の関係者並びにご住職の方々には、日頃から先祖代々のお墓を守って頂き、心より感謝いたしております。
また草葉の陰から私どものご先祖様も喜んでいると思います。
実は折り入ってご相談したい事がございます。
~~~~
といって話を持っていく手紙です。
では、次の電話はどうでしょう。
お寺:はい〇〇寺です。
檀家:私、檀家の〇〇です。いつもお世話になっております。
お寺:こちらこそお世話になっております。
檀家:実は、お墓を閉じることに致しました。
お寺:、、、、、、、、、、、。