行政書士開業準備中~相続編9
今回から、揉めやすい相続です。
登場人物として、新たに行政書士の山本先生が加わります。
今後は、川崎家の3人+行政書士の山本先生を含めた4人 が主軸になります。
以後お見知りおき下さいませ。
「山本先生こんにちは」
「あっ、川崎さん。こんにちは。そうそう墓じまいも一通り終わったんですよね」
「ええ何とか無事に一段落しました」
墓じまいに取り組む際、妻の由紀子から行政センターの無料相談がある事を教えてもらった。
なんでも知り合いの行政書士が相談をやっているという事だ。
そしてその時対応してくれたのがこの山本先生だ。
事実、離檀料のトラブルに巻き込まれなかったのも事前にアドバイスをもらっていたおかげだと思っている。
先生が歴史サークルに入っていて、度々このコミュニティセンターで顔を合わせることがあり、自然と色々話すようになったのだ。
「そういえば奥様のご実家の墓じまいもされたとか」
「そうなんです。無事そちらも終わりました。今日はサークルですか」
「えぇ、数少ない楽しみです。川崎さんは、読書ですか」
松坂慶子似の職員さんに会いに来たのが半分、予約した本を取りに来たのが半分だが、一応読書と答えておいた。
「それでは失礼します」
そう言って先生は建物を出て行った。
実は墓じまいの本を読んでいるとき、ふと相続の事が気になった。
興味本位で読んでみたのだが、ある用語が目に飛び込んできた。
笑う相続人だ。
相続が起きた時、通常であれば相続人にならないような希薄な関係の人間に相続が起きる場合をいうとの事だ。
よくあるパターンが、配偶者と甥や姪が相続人になる場合だ。
例えば、子供がおらず既に両親、兄弟も他界している場合で、兄弟に子供がいる時がある。
この時の相続人は配偶者と、兄弟の子供である甥や姪だが、この甥や姪の事を笑う相続人と言ったりする。
その他には、両親が離婚、再婚をしている場合で子供がいる場合があげられる。
墓じまいが終わったら、じっくり取り組みたいと思っていた。
何故なら自分に関係してくるからだ。
さて、知りたい事は二つだ。
離婚した場合でも相続関係が起きるか。
もう一つは、その後の子供との関係だが思った通りだ。
そこで山本先生に連絡を取って、面談の予約をした。
「川崎様、どうぞお座り下さい。今日は大事なお話だという事ですが」
「えぇ、実は遺言をしたいと思ってます」
「どの様な内容でしょうか」
「私と妻は再婚です。そして妻と別れた夫の間には男の子が一人います」
紛争の種を事前に摘む事は私の義務だ。